ヘブライ大学特別書道講座終了のご報告
イスラエルの首都エルサレムにある国立ヘブライ大学の招待により、去る2008年11月25日より28日、4日間16時間にわたり日本書道と刻字書を学ぶ特別講座が開講された。大学で日本語を選択する学生の日本語学習への興味継続と漢字習得の補助を目的としている。
NGO団体・国際書道文化発展協議会(江東区・岡田伸吉事務局長)に協力要請が届き、協議会代表理事であり日本刻字協会会長の薄田東仙氏を代表講師として柿沼省軒氏・丸山淳子女史の2名が準講師を務め訪問した。
11月25日14:00の開講式にはユーリー東アジア学科長、シロニー日本語科主任教授、ニシム教授、ミズラヒ東アジア学科事務責任者、栗本駐イスラエル大使館書記が開講式に挨拶された。またアインシュタイン博士との深い繋がりがある徳島県美馬市、牧田久市長よりの親書が読み上げられ、美馬市でアインシュタイン博士の展覧会に多くの市民が訪れたこと、三宅博士との経緯がシロニー博士より紹介されると会場は拍手に包まれた。
続いて当協議会より贈呈した書道セット30個が紹介された。受講生は日本語科12名、中国語科8名、他東洋哲学、美術専攻が10名の合計30名。日本で最高の芸術家がボランティアで訪問指導し、本物の教材を専用で使えるということで多く希望者があり、大学側は選抜に苦労されたとのことである。講座は通訳兼受講生のシャロン博士がつき日本語で1日16:00から20:00まで4時間、4日連続で行われた。気持ちを込めて書くことから初め、刻字作品を完成させる。日本語科の受講生もサポートしてくれるので十分に意思疎通ができた。終了式では一人一人が薄田氏の横に進み4日間の感謝と作品の意味を発表した。4年前に戦死した仲の良かった兄のためにとか、どの作品も意味は真摯であり、思いに比例してか、彫りはとても丁寧で深かった。この模様は同行した新潟総合テレビ竹内報道記者により帰国後の12月18日夕方放映された。
世界でも署名な大学であるヘブライ大では今年中国語を志望し入学した学生が130名、日本語の希望者は30名である。教授・学生は「日本の書道は技術ですかアートですか。日本文化の特徴はなんですか。」と普通に尋ねてくる。薄田氏が「日本は中国朝鮮を通じて文字や道具をいただきました。でもそれはとてもいいものをいただいた。ありがたいという気持ちをもって受け継ぎました。日本文化の特徴はと言えばありがたいという感謝の気持ちの継承です。そこにまず大事な気持ちを込めることに始まり、その気持ちを表現できることを目指します。技術でかたどりをしないのですから当然アートです。」と答えると皆納得してくれました。人類で最初に文字を作り、その文字を伝え使用している彼等は、功利志向とは別の方向で進んだ日本の書道を十分に理解し共感できる経験と深い時を経た人々であると言える。
滞在期間中にはニシム教授夫人がエルサレムの旧跡を2日間にわたり案内してくださり、その他ハイファ、死海、マサダも訪れることが出来た。ここの歴史は多層重厚で魅力は尽きない。特産のグレープフルーツはその名のように見た目は葡萄房の形で甘く、魚は予想を裏切って太っておいしい。旧交のあるコーヘン前日本国大使のご自宅に招待され、またシャロン博士のご家族ご友人の方々と祝祭の日を過ごさせていただき、多くの藝術家の方とも知りあえた。
さらに竹内春久駐イスラエル日本国大使からの昼食の招待もあり、この計画は5年連続の1回目で、実現にあたりニッシム駐日本国イスラエル大使から100キロにも及ぶ書道用具教材の輸送、刻字用の教材の板を寄贈していただいたこと、大学より滞在費をご招待いただいたことを報告し、今後の活動継続に対して駐イスラエル日本大使館にもなんらかの協力を依頼した。
企画実現にあたり、日本側においても斉藤衛・前議員のイスラエル大使館要人の紹介、薄田東仙氏の刻字用具の寄贈、佐々木天道氏からの固形墨の寄贈、加藤裕氏の半紙の寄贈。青木偉作氏の通訳等多くの方々のご協力をいただいたことを感謝し報告する
2008年12月21日
国際書道文化発展協議会
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